ロケ・リポート
Vol.1 メインの春(2000年5月8日〜25日)

 5月8日(月)から25日(木)の18日間、昨年の9月(初秋)、今年の2月(厳冬期)に続く3回目のロケが行われました。今回は、ようやく春を迎えたメインの森や海辺で、「センス・オブ・ワンダー」でレイチェル・カーソンが描写している自然をいかにフィルムに収め、伝えることができるかの、重要な撮影でした。現場の様子をリポートします。


 春の訪れ

 撮影隊一行は、ボストンから車でロケ地メイン州ブースベイ郊外のサウスポート島に入りました。ニューイングランド最北端にあるメイン州は、到着したとき、ようやく早春といった趣でしたが、ロケ中に日ごとに春になっていく様子を見ることができました。
 レイチェルの別荘の周りの森は、芽吹きの季節です。針葉樹の中に点在する広葉樹のやわらかな緑は、春の空にまぶしく輝かんばかりです。地面にも、「センス・オブ・ワンダー」に出てくるたくさんの植物が顔を出しています。ブルーベリー、ゴゼンタチバナ、ツバメオモトの花。トナカイゴケやシダ類は、雨にぬれていっそうその緑を濃くしています。
 海も、春の表情です。晴れた日は、おだやかな日の光がきらきらと反射して波の上を踊っています。


 上遠恵子さんのセンス・オブ・ワンダー

 上遠恵子さんは、こんな春のメインの森や海辺を散策しながら、いろいろなものを見つけます。森の中でしゃがみこんで「あら、ゴゼンタチバナが咲いているわ」と喜びの声を上げたり、海辺で岩の下をのぞきこみ「こんなところにこんなちっちゃいフジツボがたくさんいるのよ!」と驚いている様子は、「センス・オブ・ワンダー」の中のレイチェルとロジャーとまったく同じではありませんか。
 こんなセンス・オブ・ワンダーの持ち主である上遠さんに、この映画でレイチェルの世界を追体験していただけるのは、本当にうれしいことです。


 イメージにぴったりの親子

 「センス・オブ・ワンダー」の映画化には、原作に登場するレイチェルの姪の息子ロジャー・クリスティーさんとそのご家族のご協力があります。レイチェルの別荘を優先的に貸していただいたばかりでなく、ロジャーさんからは、日本の皆さんへ向けてすばらしいメッセージをいただきました。また、奥さんのウェンディさんと息子のイアン君は、イメージショットに出演いただくことになりました。
 今回のロケでは、そのイメージショットの撮影を行ないました。6歳のイアン君は、まさにレイチェルと一緒に森や海辺を探索したロジャーの面影で、お母さんも「センス・オブ・ワンダー」のイメージにぴったりでした。


 レイチェルの別荘に滞在しての撮影

 今回のロケは、昨年の秋と同様、レイチェル・カーソンの別荘に滞在しながらの撮影でした。
24時間、レイチェルの別荘にいるということは、たいへん貴重な経験です。レイチェルがここで見たもの、聞いたものを、我々も実際に体験できるのです。レイチェルが眺めていた窓の下の潮の満ち干。海に沈む夕日。満月。小鳥のさえずりで朝早く目覚めて森に出かけるレイチェルの気分まで伝わってきます。
 そして、寝食をともにしての撮影隊の日々は、さながら合宿生活です。まさに老若男女のユニークな面々で構成されたチームですが、「センス・オブ・ワンダー」の映画制作というひとつの目的で集まっているだけに、すっかり気心が知れていて、食事の用意、片づけ、薪割りなども、気持ちよく分担しています。
また、近所の人たちもとても協力的です。敷地内の撮影をこころよく承諾してくれたり、地元の人ならではの情報をくれたり、手作りのお菓子の差し入れをくれたり。

 順調な撮影

 こうして撮影は順調にすすみ、春の森や海辺の様子、朗読する上遠さん、親子のイメージショットに加え、海岸線から別荘への空撮など、主要な撮影ができました。また、メイン州の撮影のあと、コネチカット州のイェール大学で資料の撮影も行ないました。
 このあと、7月と10月にロケを予定していますが、きっと最後まで、レイチェル・カーソンが見守っていてくれることと思います。。「センス・オブ・ワンダー」の世界が次第に映像化されていくのを、レイチェルも楽しみにしているに違いありません。


(リポーター:瀬口 亮子/制作・上映委員会事務局デスク)